2013年
12月
20日
緩和ケアのこと、ご存知ですか? 癌の末期など痛みをとって過ごしやすくするケアというイメージが強いですが、初期の段階から痛みの管理をうまくすることが患者さんのQOLをあげることにもつながります。
作文レッスンの生徒さんたちは小中学生がメイン。ちょうど、おじいちゃまやおばあちゃまが厳しい宣告を受けたり、悲しい別れをすることも多い年代です。 つらすぎる体験も目を背けることなく、すこしずつ丁寧に心をときほぐしていくと、気持ちの整理も出来てきます。 小さいから、かわいそうだからと、ふたをしてしまうのではなく、その年齢なりの感じ方や命の大切さへの思いは、書きとめておくとよいと思います。
どうしようもない悲しみも喪失感も、時間が経つにつれて薄らいでいきます。自分の言葉で今の感情を記しておくことは、子供たちの成長過程においてもとても大事な事だと思うのです。 もちろん、大きな傷となっている子供には時間をおくようにしていますし、テーマに選ぶ際にはご家庭とご相談の上、勧めるようにしています。
このように毎年ターミナルケアやホスピスの問題に向き合っていますが、一番初めに「在宅ホスピス」という言葉を聞いたのは10年ほど前でした。 大病院での治療を終え、最後の日々をどうするか迷っていたご家族に主治医から提案があったのが、在宅ホスピスでした。今でこそ、在宅によるホスピスも広く知られてきましたが、当時はまだまだ一部でしか行われていなかったようです。
おばあちゃまと一緒に過ごす中で起きる様々な出来事。
トイレットペーパーが自力で切れなくなったり、前開きのものしか着られなくなったり・・。重くてもうフライパンが持てないのというおばあちゃまの言葉には、淡々と話す生徒より私の方が涙で前が見えなくなりました。
生徒が前にいなかったら、号泣していたかもしれません。 家族全員で看護に関わる事で、住み慣れた自宅で看取ることも出来、家族にもやれることはやった…という思いが残ったそうです。 おばあちゃまとの最後の日々をまとめた作文は、読売新聞社主催のコンクールでも最高位の文部大臣賞をいただきました。
2013年
11月
15日
HPからのお問い合わせいただいた方のレッスンに伺いました。
かれこれ10数年、作文レッスンを重ねてきましたが、ご紹介や口コミだけでやってきました。どこかに文章を書くことで困っている方や、もっともっと力を伸ばしたいと思っている人はいるはず。そんなところに私のお手伝いが届けばいいな…ということで、思い切って立ち上げたホームページです。 まだまだ検索でもすっごく下の方に沈んでおりますし、どうやって探し当てて下さったのかと思うと本当にありがたいですね。
出会って下さったのは、やはりご縁があったからだと思います。
今回の初めての生徒さんは小学生男子。中学受験も控えて書く力を伸ばしたいとのこと。
初対面なのに緊張もせず、生徒さんも沢山話をしてくれました。苦手意識を持つ子がほとんどそうであるように、どこからどう手を付けていいのかわからない、何を書いたらいいかわからないという状態。でも、何とかしたい!書けるようになりたい!…という気持ちは彼の顔にはっきりと表れていました。
まず、文章を書くということの意味から始まって、メモの取り方、文章にリズムを付けることなどをレッスンの中心にしました。初めてこんなレッスンを受けた・・・と、ちょっとばかり嬉しそうに顔をほころばせてくれました。 少し自信がついてくれたかなと思います。こんなキラキラした目を見ることができる瞬間、それこそこの仕事をやっていてよかったなと心から思える瞬間です。
2013年
11月
12日
私立小学校の受験休みの期間中に、レッスンがいくつかありました。ちょっとまとまった時間が取れるお休みは、作文にぴったり(笑)
世界遺産について考えるという壮大なテーマ、今回は白神山地の人の手の入らない広大な自然をどう保護するか、考えました。
白神山地は、核心地域と緩衝地域に分けられ、緩衝地域にのみ人の立ち入りが許されています。かなり厳しく規制されていても、落書きをしたりする輩も出て自然破壊の恐れがないとは言えません。しかし、壮大な自然と触れ合う事によって人々の心に自然への畏敬の念や環境保護への関心を高める狙いもあり、様々な森林ツアーも企画されています。現状のまま、人の立ち入りを許すか、強固に自然を維持保護するために立ち入りを禁止するか・・・。
意見文ではまず自分の意見を決めないといけません。ぱっと自分の考えだけでYESNOに飛びつくのではなく、問題文の意向を読み取り、どちらの説に立つか考えること。 どちらの説を支持してもOKなら、自分の思いは大切にしつつも、書きやすい方を選ぶ事などなど、すこしテクニックをアドバイス。 慣れない作業に戸惑っていた男子も、世界遺産の持つ意味に目を向けると自分の選ぶ説はすんなりと決まったようです。
現在の世界遺産は、981件。このうちいくつ、自分の目で見て感動を味わえるか・・。
心身共に柔軟な小中学生のうちに1つでも多く出会えるといいですね。
2013年
10月
13日
今日の月は上弦の月。そう、右半分がくっきりと空に浮かんできれいに見えました。月の満ち欠けはとても不思議なもの。 昔の人は月の形で今日が何日なのかを知り、月の満ち欠けが生活の中にとけこんでいたのですね。
今は中学生になったHちゃんが小学校1年だった時のこと。Hちゃんは、上弦の月のことを「 Dのお月さま~!」と呼んでいました。パパやママとお寿司屋さんへ行った帰りに見上げた空に、Dのお月様が大きく見えたのだそうです。 あれ、今日の月は丸くない!半分しかない…と思ったHちゃん。 半分はどうしたんだろうねと話しているうちに、面白い話がどんどん広がっていきました。 お月様ってどんな味がするんだろうと思って食べちゃったの…というのです。 お月様を食べちゃうという発想が楽しくて、その先をどんどん聞き出していくと、お月さまはちょっと堅くてラムネみたいな味だったそう。
1年生の女の子ならではの、まさに期間限定の可愛い言葉が沢山飛び出てきました。
日々変わる月の名称。 山の端に上る月を立って待つという意味の立待月や、満月を過ぎて少し出るのが遅くなり、ためらいがちに出てくるから十六夜月。古典文学を思い起こさせるような素敵な名前です。今夜の月は弓張月ともいわれます。たしかに、振り絞った弓を連想させる形です。 でも、Hちゃんの名づけた「Dのお月様」が私には一番ぴったりくるのです。ふと見上げた空に、Dのお月様を見つけると何年経っても、あの時のHちゃんの笑顔が浮かんできます。
半月
2013年
10月
02日
台風の影響か、10月になったというのに気温が高い所が多かったですね。
夕方、犬の散歩に出た時、ほんの一瞬ふわっと金木犀の香りがたちました。
この秋初めての、金木犀便り。 本格的な秋に向かって、着々と木々は自分の仕事をしているのですね。
こんな季節のこと、ぜひ日記に残してほしいなと思います。秋ほど、いろんな言葉で語られる季節はないですね。芸術の秋、読書の秋、スポーツ、そして食欲。
どこに目を付けてもいいのですが、匂いに注目してみてください。
作文や日記で、匂いが出てくることは案外少ないものです。 金木犀の香りに気付くのも、1年のうちでほんの少しだけ。香りと共によみがえる思い出、大人になっても鮮やかにとどめられるように・・・。
塩焼き秋刀魚の香ばしさ、松茸ご飯のおいしさも、香りがぬけてはつまらない。
あったこと、やったことを日記に書くだけでなく、秋ならではの匂いを加味してください。ぐっと深みの増す作品になるはずです。
2013年
9月
08日
オリンピック開催が東京に決まりました。
最終プレゼンテーションをテレビでご覧になり、感動された方も多いでしょう。
表情や選びつくされた言葉、そして練習を重ねて得られた自信、何としても勝ち取るんだというみなぎる気合い。 全てが相乗効果を生み出して良い結果へとつながったのだと思います。プレゼンの力を感じました。
見事なプレゼンで表に出た人だけでなく、裏で原稿を作り支え、磨き上げていった方達の力にも大きな拍手を送りたいと思います。
原稿は英語、日本語共に、NHKのサイトなどで読むことも出来ますので、是非目を通されることをお勧めします。人に伝えるということの大切さ、基本がとてもよくわかる文章です。
2020年に開催が決まったということで、どれだけたくさんの子供たちにも大きな夢が生まれたでしょうか。 今日レッスンに来た女の子は7歳。7年後には中学生になります。
水泳を習っている彼女は、目を輝かせて身近になったオリンピックへの夢を語ってくれました。 今日のこの感動を、もちろん日記に残しました。
オリンピック開催が決まった日の喜び、自分が何を考え、どんな目標を抱いたか・・・・こんな素敵なこと、文章に残しておかない手はありません。
2013年
9月
07日
自宅でのレッスンが中心だった夏休み。毎日、いろんな生徒さんが元気に通ってくれました。 シャイな中学生男子。書くよりもおしゃべりしている時間の方が長い女の子。
どんなに暑くても、疲れていても、私もテンションあげてレッスンに臨みました。不思議なもので、こちらのテンションが下がっていると、微妙に空気は伝わるもの。
さぁいくぞ!という姿勢で行かないと、子供もだれてしまうのです。
猛暑の中、現れる子供たちはサンダル履きがほとんどでした。玄関で丁寧に揃えて上がってきます。 そんな時、玄関先でソックスを出して家の中へと上がってくる子もいます。
私も素足でペタペタ歩いているので、子供たちが素足で勢いよく上がってきても全然気にならないのですが・・・。
もうだいぶ前になりますが、初めてソックスを履く光景を見た時は、はっとしました。
その姿がとても自然で・・。
あぁ、この子はいつもこうやって、よそのお宅へあがる時は、ソックスを履いているんだなと。 私自身は、靴を脱ぐ可能性がある場合は素足で出かけないのですが、娘にマナーを伝えていたかな・・・ちゃんとわかっているだろうかとドキッとしたのです。
おうちの姿勢、躾がそんなことからもみえてくるんですね。
お受験の際、校舎へ入った時、靴を脱ぐときから、大切な時間は始まっています。
いくら練習しても子供たちはどうしても普段の姿が見えてしまいます。日常のちょっとしたこと、きめ細やかに、根気よく、小さい頃から・・・・。
大変だけれど、親も一緒に頑張るしかありません。
2013年
9月
03日
夏休みも終わり、たいていの学校で新学期が始まりました。
ぎりぎりで課題を終わらせた子も、余裕を持って書き上げてしまった子も・・・。
今年も本当に様々なテーマと向き合いました。
在宅ターミナルケア、iPS細胞から、とびばこ、動物愛護、戦争、感動、旅、かがやき、昔から伝わるもの、ボランティアなどなど。
テーマに合わせて、なんとかネタを探し出し、構成を考えるまでが毎回大変な作業。
何かない? う~ん、別に・・・・
そんな事言わないで、なんかないの? じゃ、これは?あれはどう?
こちらも必死に頭の引き出しをあちこち開けまくっていろいろ提案。私のヒントで気づき引っ掛かってくれれば大したもの。ところが、それでもネタがないという子もいるのです。
たしかに学校と家の往復、合間に塾に行って…の繰り返し。そうそう感動モノのネタが転がっているわけはありません。 夏休みになってから、課題が出てからネタを探そうとしても無理なのです。
普段の生活から、ニュースから、友達とのやり取りから、あ!!これ面白いかも! 使えるかも!!というネタを見逃さないでください。
学校で作った工作を持ち帰った時の、おばさんの「いいもの、こしらえたね~!!」という一言。「拵える」という言葉は小学生には聞き慣れない言葉だったのです。そこから、小学校4年生の子は今は使われなくなってしまった言葉,死語にまで発想を広げていき、とても面白い作品が出来ました。
ぼうっと毎日を過ごしていたら、磨けば光るきらきらネタは見つかりません。 小さなことにも関心を持って、一見無駄に見える事にも首を突っ込んでみる。来年の夏に向けて、もうネタ探しは始まっています。
2013年
8月
22日
夏休みも終盤ですが、まだ課題に手を付けてないという人もいると思うのでここでちょっとアドバイス。
コンクールへ作品を出す場合、ただやみくもにテーマに沿って書いていけばいいというわけではありません。どんな色合いで行くか、どこにポイントを置くか、ちょっと考えるだけでだいぶ違ってきます。
宿題の場合、学校側からご丁寧にコンクール名も表示された一覧表が出ているはずです。一覧表の中から1つか2つ選んで提出というケースが多いですが、コンクールの趣旨を調べようとしない方がなんと多い事か・・。
枚数の少なさや、テーマの気軽さに安易に飛びつくと、案外てこずる事が多いのです。
まず、自分が選ぼうとしているコンクール、必ず主催者のHPを見て下さい。
そこには、細かくコンクールの趣旨、目的が載っています。どんな風に作品を仕上げていったらいいのか、ヒントが載っているのです。さらに、過去の受賞作品も読む事が出来ます。おぉ、こんなイメージで書いていけばいいのか、エッセイ風でもいいのね・・などかなり参考になります。選考委員の顔ぶれ、好みなど知ることもコンクールを勝ち残っていくためには大事なこと。
コンクールの趣旨から大きく外れた方向へ頑張っても、骨折り損の・・・・になってしまいがちです。中高生はまず基本を押さえるところから始めてみてください。